アンチエイジングAnti-Aging

歯科の口腔管理がアンチエイジングを進め、健康寿命を伸ばします。病気になり、体を悪くしてからの治療よりも、病気になる前の予防をした方が私たちは快適な生活を送れます。歯科医院が行う口腔管理は、栄養を摂り、からだの中で最も慢性炎症の起こりやすい場所であるお口を守り、虫歯、歯周病の予防ばかりではなく、健康寿命を延ばすという大切な役割を担っています。

虫歯や歯周病で歯を失って噛めなくなると、野菜やお肉などが食べられず、柔らかい粉もの(ごはん、うどん、そば等々の糖質)ばかり食べてしまい、カロリーは摂れても、ビタミン、食物繊維、タンパク質などの栄養が不足して、生活習慣病などいろいろな病気にかかりやすくなります。また、タンパク質が不足して筋肉量が減ると筋力が低下し、転倒し骨折しやすくなります。やがて、老年期には要介護の状態につながるリスクが高くなります。

歯周病と全身疾患との関係Effects of periodontal disease

歯周病といえば、お口だけの病気と思われがちですが、全身に関わる疾患といえます。お口の中の細菌が血管を通して血管系で動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを起こし、糖尿病を増悪させ、骨粗鬆症、肥満に影響を与えます。肺に入ることで、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。また、妊娠されている方では、早産や低体重児などの原因になるともいわれています。

これらのリスクを未然に防ぐためにも、約3か月の周期を目安に、定期的に歯科医院で口腔管理・健康維持のアドバイスを受け、古くなった歯垢(バイオフィルム)を取り除き、口腔内の細菌をリセットすることが、健康管理に大切といえます。人は血管とともに老いると言われます。お口をきれいに保つことは血管を守り、アンチエイジングにつながります。

歯周病とはPeriodontal disease

歯周病は、歯と歯肉とのあいだ(歯肉溝)に汚れがたまり、歯肉に炎症が起こると、はじまります。正常な歯肉溝は2mm位で、炎症を起こして腫れると歯肉溝が深くなり、ポケットになります。ポケットの深さが3~5mmになると歯肉が赤くなり、歯を磨く時に出血します。

歯周病が進行すると、歯肉の腫れが大きくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入し、歯を支える骨を徐々に破壊していきます。ポケットの深さが6mm以上に深くなると、汚れが固くなり歯石となって、歯の根を覆ってきます。末期には、体の疲れとともに歯肉が腫れ、膿が出てきて、歯がぐらつき、強い腐敗臭を放つようになってきます。また、歯肉のポケットから血管に歯周病菌やその毒素が入ると、動脈硬化の原因のひとつになると言われています。

歯周病は、虫歯と違って、なかなか症状は現れにくく、知らないうちに進行して、病状が進むまで自覚しにくい病気です。さらに進行すると、歯はグラグラになって抜け落ちます。歯周病は生活習慣病といわれ、再発し易く、定期的な管理が必要になります。歯周病は、膿が出て、痛みが出る頃には重症になっています。そうなる前の自覚症状がないうちに適切な治療・定期健診を受けることをおすすめします。

動脈硬化などとの関係

歯周病は細菌感染症であるため、細菌が血中に入ることにより、動脈硬化が進む可能性が報告されています。脳血管や心臓の冠動脈などでは、細菌の作り出す毒素によって血栓ができやすくなり、脳梗塞、心筋梗塞を起こすことがあります。

糖尿病との関係

高血糖値が長く続くと、タンパク質と糖が結合した物質ができ、歯肉の炎症を起こします。また、歯周病菌が血中で作る物質が、血中の糖濃度を下げるインスリンの働きを阻害します。

たばことの関係

喫煙の習慣があると歯周病が起こりやすく、症状が進行する可能性が2倍から9倍になります。歯周病の治療を進める際は、喫煙を止めなければ、効果が出にくいとされています。